ぐだぐだ

かんがえること

父⑤

ちょっと変わっていて非常識な部分がある人であるが、それでもわたしの親である


前に書いたように、働いて家族の生活費・わたしの学費を稼いでくれているし、育ててくれた感謝もある、それ以外でも愛すべきところはいろいろある


父が家にいるとき父と2人で過ごす時間が多い


そのときよく映画を一緒に見たりする


その時間が、ちょっと好きだったりもするのだ


父は色々不器用で、愛情の伝え方が下手だなあと思うことはよくある


妹が観たいと言っていたアニメをネットから探して無言でテレビで流すが妹はそのときは試験期間前だったのでむしろ迷惑ということがあったり、


わたしの好きな芸人のラジオを、自身の聞くために掛けながらもちょっと大きな音でわたしにも聴こえるように流したり(でもそれは騒音でしかなかったりする)、


娘のためにこうしよう、としたことがあまり娘2人に響かないことはしょっちゅうだ


でも自分のためを思ってきっとこの人はこうしているんだろうと思うと、できるだけそのやさしさ(?)を享受しようとしたし、愛おしいと思う部分があった


母のいない日曜日の昼には、父はスーパーで焼肉や惣菜などを買ってきて、一緒に食べた


日曜の昼にこんな贅沢する必要はない、お金の無駄だから辞めるように言って、と母は言っていたし、わたしもお金の無駄だというのはごもっともだと思っていたが、


自分の好きなものを食べたいと考える父が容易に想像できたし、なんだかんだ父に甘いわたしは、強く辞めるようには言えなかった

父④

家族として愛していないのか、とかそういうことではない


父に感謝することはたくさんあるのだ



通うのが億劫であろう中、大黒柱として働き続けているのだし


幼少期は父と遊ぶのが楽しかった


その頃父の部屋はまだ、8畳の部屋で、

平日は朝、自分の登園と父の出勤の時間が重なるとバイクの後ろにバス停まで乗っけてもらい、父の帰宅が遅かったため交換日記をした


土日の朝は父が布団にいるのを確認すると、今日はあそべる?と父の寝る布団の中にもぐったし


父と風呂に入る時だけは風呂の中で音楽を聴ける特別感がたまらなかった


シルバニアのお洋服の紐を結ぶのも、折り紙の折り方を聞くのも、全部父に頼った


小さい時から英語で曜日を教わっていたのは、中学校で大いに役に立ち感謝した


だからこそ当時夫婦喧嘩を聞いている時は、内心父の肩を持った



その頃の父はちゃんとしていたように見えたし、尊敬していた


実際ちゃんとしていたのか、幼くて見えていなかったのかわからない


なんでも出来る、尊敬する存在だった人が、わたしの中で、いつのまにか、少し変わった非常識な人になってしまった

父③

仕事の面だけじゃない


もともと変わった人なのである



彼の部屋は6畳ほどの部屋に、家族のタンスが置いてあるので、成人男性の部屋にしては小さい


わたしに妹が誕生してから、以前父の部屋であった8畳の部屋は姉妹の部屋になり、それまでわたしの部屋だった小さい部屋が父の部屋になった


父は数年かけて、それを見事にガラクタで満たし、満たし続けている


機械類やライト、コードやお菓子や飲んだ後の空き缶など色んなもので足の踏み場がない


そのくせ、父の部屋より片付いたリビングの机の上にある、書類や小さいお菓子を気にする


部屋を片付けたら?地震が起きたりしたら危ないよ、と言うと


片付けてもタンスがあるから、地震が来たらどっちみち下敷きになる、などと言う




休みの日には、読みたい本を、図書館から借りて来てはひたすらコピー機を使って読み込んでいる(持っている電子書籍に入れたいらしい)


あまりにも長時間コピー機の前に座ってウィーンウィーンと音を立てるものだから


そのまま読めばいいんじゃない、と言うと


人気の小説やたくさんの本を借りると、返すまでに読みきれなかったりする、と言う


人気の小説が読みたくて、お金をかけたくないなら文庫本がでてから買えばいいし、第一借りている本は人気の小説ばかりじゃない


何冊も借りて読みきれないならまた借りればいい


彼は結果、膝より下に置いてあるコピー機の前でチェアーに腰かけ続けたせいで、腰を痛めた


また休みの日にはよく出かけた


出かける先は、百均や電気屋、ホームセンターだった


何を買っているかはよく分からない


部屋にこれでもかと蓄えていそうなコードだったり、小物入、携帯置き、お菓子だったり


つまり部屋のガラクタの肥やしを大きくしているようにしかわたしの目には映らなかった


お金がない、節約だ、と言いながらよく分からない安いものをたくさん買って来る


労力と時間とお金のかけ方の感覚が圧倒的にずれていた




人間関係も上手い方ではないのだと思う


休日誰かと出かける、など聞いたこともなかったし


漫画などでよくある、"飲み会するから夕食はいらない"や"今から仕事仲間と自宅で飲むから準備よろしく"など、そういうシチュエーションに遭遇したことはなかったし


お中元お歳暮は見たことがなかった


それどころか、母とはお世辞にも仲がいいとは言えなく、家庭内別居と言えるほど口をきかなかければ


娘2人も、喋ったりテレビを一緒に見たりしても、父のいないところで"そういうところが父親に似てる"、などと母や母方の祖母に言われるとカチンと来た